ディープな裏話
 経験値。それはRPGを愛好する者にとって、頭の痛い問題でもあり憧憬にも似た感情を発起させる言葉であろう。手っ取り早く得ることによってより早く、より強くなることができるのである。そのためにはコストパフォーマンスの高い敵を相手に戦うのが最も有効な手段とされているが、DQ3には歩くだけで経験値を得ることができるアイテムが存在している。これを「マニア垂涎のアイテム」と言わずして何をそう言うのか。

9.はぐれメタルと幸せの靴

 はぐれメタル・・・それはこのゲームのミステリーのひとつであり、ゲームをするみんなが羨望の眼差しで見つめてしまうという、異色の存在である。「可愛らしい」、「端整なマスク」、「灰色」・・・いろいろな魅力がある彼だが、その一番の魅力はなんといっても、そのけた外れの経験値にあるだろう。ゲームの終盤も終盤、ゾーマのすぐ前に登場してくるバラモスゾンビでさえ、経験値は14,300であるというのに、はぐれメタルはなんと40,200というとてつもない数字となっている。ゲームのバランスがこれで保てるのか!?・・・という心配までしたくなるようなものだが、実際のところ、こんな飛び抜けた数字でも一応の均衡は保っているようである。
ありゃ  それはなんといっても、「はぐれメタルは倒しにくい」からだ(身に染みている方が大多数だろうが・・・)。放っておけばすぐに逃げ出してしまう、守備力が高いから打撃攻撃では1しかダメージを与えることができない、やたら素早いので先制されることが多い・・・これ全てが「倒しにくい条件」に直結してしまう事象だ。とにかくこいつを目撃したなら有無を言わさず、あらゆる手をもって叩いていくしかない。手を抜いているような余裕はない。上のコラムでも書いたのだが、こいつに有効な攻撃手段となると、全員での集中打撃攻撃、会心の一撃を待つ、毒針攻撃、隼の剣、ドラゴラム、パルプンテ、メダパニ・・・などとなる。武運を祈る。

・幸せの靴と経験値稼ぎの関係
 さて、「幸せの靴」というアイテムは、そのはぐれメタルが持っているというレアアイテムのひとつである。これには、装備してフィールド上を歩くと、その歩数分だけ経験値が増えていくという夢のような特殊効果がある。この「フィールド上」という限定はあるものの、この効果はかなりセンセーショナルだ。もっともこの効果を享受するためには、ただでさえ倒しにくいはぐれメタルを狙い続け、倒し続ける(もちろん一番最後に)という困難は伴うのだが。
 ただ、ここでちょっと考えていただきたい。この幸せの靴を、ただ単に「経験値稼ぎのため」に装備しようというのなら、「現時点でパーティが足を踏み入れることのできる、獲得経験値が最高の地域」を歩き回らねば意味がない。元々獲得経験値が高い地域を、さらに高めるというのでないと、最低限の効果すら得られなくなってしまうのだ。ということで理想的な話では、はぐれメタルがよく出現するフィールド地域をズカズカと歩き回るのが一番良いことになる。
 とにかく幸せの靴は、あくまでも「経験値アップの補助」の為のアイテムであるということを認識しておく必要がある。一歩歩けば1、ならば10,000ほど経験値を増やそうと思ったら、一万歩歩かねばならなくなるのだ。こんな手間をかけるより、経験値の高いモンスターを倒していった方がずっと効率的である。

・究極的には、幸せの靴は必要ではない?
 幸せの靴が有効となるのはフィールド上だけ、ということは既に述べた。そしてそのフィールド上で、もっとも獲得経験値が高いと推測される地域は、リムルダール周辺である。このあたりにはダースリカント、キメラ、マドハンドなどが出現するが、はぐれメタルも割と高い頻度で出現してくる。それも1匹だけではなく、2、3匹の編隊を組んでいるときもある。これならば、何度か戦闘を続けていれば、ヤツを倒すチャンスが巡ってくるようになるだろう。
 しかし、これはあくまでも「フィールド上」での話である。確かにフィールド上だけに限定すると、リムルダール地方が一番はぐれメタルの出現率が高いが、この対象を「全てのモンスター出現地域」としたらどうなるだろうか。賢明な方なら既にお気づきかもしれないが、この答えとなるのが「ルビスの塔」である。この塔では、一階からはぐれメタルが出現する。この階ではそんなに出現数は多くはないものの、「出現頻度」はかなりのものであり、リムルダール地方にもまったく引けを取らない。
 そして、この塔の階段を上がり二階に行ってみると・・・はぐれメタルが集団で出現してくるのである。出現率が高いだけでなく、なんと4匹や5匹で登場してくるときもあるのだ。こうなってくると、彼を倒すことのできるチャンスが限りなく高くなってくるのは明白である。このゲームで得ることのできる、一戦闘での獲得最大経験値(65,536)の関係でヤツを3匹以上倒す意味はないものの、多く居てくれるに越したことはない。まあつまり、このゲームにおける最大のレベルアップポイントは、このルビスの塔の2階なのである。そして・・・ここでは当然、幸せの靴の特殊効果は機能しない。ならば、「経験値を稼ぐための幸せの靴」という概念は、実は正しくないものとなってしまうのである。
 しかし、これはあくまでも「究極的」な段階、つまり、もうレベルアップのためならどこにでも侵入することのできる強さを備えている場合の話である。このボーダーラインをどう見るかということには個人個人の考えがあるだろうが、仮にそのレベルを40とすると、レベル40以降の経験値稼ぎならば、真っ先にルビスの塔(の二階)に行くべきであって、幸せの靴は事実上必要ない。しかし、このルビスの塔に行くことのできないレベルの内にこの幸せの靴を手にしたならば、まだ利用価値はあるということである。もっとも、このゲームで2番目のレベルアップポイントであるはずのリムルダール地方フィールド(幸せの靴は有効)でさえ、出現してくる敵モンスターはかなり強いので、生半可なレベルでは苦戦することは必至だ。スー地方のフィールドにもごく稀にはぐれメタルは出現するが、これはとてもレベルアップのために狙うような出現頻度ではない。
 となると、「はぐれメタルを狙いながら」、「幸せの靴を有効にしながら」、かつ、「そのパーティに合った最大のレベルアップポイントで戦う」というようなケースは、事実上無いに等しい、という結論になってしまう。

・幸せの靴は「レアアイテム」です
 以上のことから、幸せの靴を有効にレベルアップに生かすということは、残念ながらほぼ無理であると言えてしまう。ということで、このゲームにおける幸せの靴というものは、コレクターアイテムと割り切ってしまうのが正しいのではないかと思われる。このゲームでもっとも倒しにくい敵、はぐれメタルが持っている夢のアイテム・・・その精神的意味合いが強いのがこのアイテム、なのではないだろうか。
 みんなで履いて、幸せになろう・・・幸せの靴。


10.僧侶の不思議な攻撃?

 僧侶の攻撃力、これに期待している人は少ないと思う。魔法使いほど弱くはないものの、武闘家や戦士などに比べると明らかに劣っている僧侶の攻撃力。その位置付けは、パーティの回復を行いながら、ヒマを見ては敵に打撃を繰り出していくというものであろうから、そんなに高くなくてもよいものなのか。とりあえず彼の攻撃力に、「中途半端」な感があるのは否めないところだ。
 しかしこの僧侶、稀にではあるが、ものすごい攻撃を繰り出すことがあるのだ。それは、対はぐれメタル・メタルスライム戦でのことである。僧侶が何気なく「たたかう」コマンドを選んで攻撃してみると、普通は絶対に1しか与えることしかできないはぐれメタルに、10くらいのダメージを与えてしまうことがあるのだ。はぐれメタルのHPは6なので、これだけダメージを与えれば十分に倒すことができる。この不思議な攻撃、いつも出てくるわけではないのだが、かなり魅力的である。魔法使いの呪文攻撃・毒針攻撃、武闘家の会心の一撃に加えて、はぐれメタルに有効な攻撃がひとつ増える、それだけで意味のあることだ。・・・信頼性はこの中で一番低くなってしまうが。

・本当に僧侶が関係しているからなのか?
 しかし実際のところ、これは「僧侶の」攻撃がはぐれメタルに特殊な効果をもたらしていると、決め込んでしまって良いものなのだろうか。もしかして、その僧侶が装備しているものが、たまたまはぐれメタルに有効なだけだったのかもしれない。はぐれメタルを相手にしているレベル、となれば、少なくともバラモスを倒す直前の段階にはなっているはずである。となると、僧侶が装備できるものの中で、最強の攻撃力を持つ「ゾンビキラー」でもこの頃になっていれば、おそらくほとんどのパーティで装備させていると思われる。となれば、はぐれメタルに有効性を示したのは、ゾンビキラーだったと考えられなくもない。
 ゾンビキラーを装備できる職業といえば、勇者、戦士、僧侶、賢者、商人の5つである。そこで、実際に彼らにゾンビキラーを持たせてはぐれメタルを相手にしてみた。すると・・・どの職業の者もごく稀にだが、10ほどのダメージを与えることがあるようである。ということは・・・このはぐれメタルに対する不思議な攻撃はゾンビキラーから発せられるもので、なにも僧侶に限った話ではなかったのだ。

・たまたま僧侶が条件に合っただけの話・・・
 少し冷静に考えてみよう。私ははっきりと表題に「僧侶の不思議な攻撃」と書いているのだが(疑問型だが)、これにはちょっとした理由がある。この、ゾンビキラーを装備している職業(キャラクター)という条件を考えれば、そのはぐれメタルを相手にしている段階では、僧侶しか該当する者がいないのである。理屈に少々の無理はあるが一般論を前提として、その理由を追ってみよう。
 まず勇者である。勇者は打撃攻撃の鋭さということに関しては、常にパーティで1、2を争う存在となっているはずだ。ならばはぐれメタルを相手にしているような段階では、当然攻撃力の高い武器を装備しているはずである。一般的にはぐれメタルと初対面となるのは、ネクロゴンドの洞窟となるので(スーで初対面となったあなたは幸運だ)、この頃の勇者は、既にドラゴンキラーくらいは装備しているはずである。もしこの段階でゾンビキラーレベルのものを装備していても、この洞窟にある「稲妻の剣」が彼に回ってくることになるだろう。戦士と武器を分けねばならないことも考えられるが、それでもゾンビキラーより上のものは装備しているはずである。このネクロゴンドの洞窟を抜けた後になってくると・・・ますます攻撃力の高い武器が登場してくることになり、もはや勇者の手にゾンビキラーは握られていないだろう。意識的に持たせていない限り、は。
 次に戦士であるが、彼も勇者と同じような理由から、はぐれメタルを相手にしている頃には、既にゾンビキラーよりも攻撃力の高い武器を持っているはずである。よほど金に困っていない限りの話だが。
 そして賢者である。賢者といえば、僧侶と魔法使いの呪文を同時に覚えていくというのが最大の特徴であるのだが、対はぐれメタル戦の時、彼は魔法使いの呪文を使っているはずである。パルプンテ、ドラゴラム、メダパニ・・・個人の志向はあるだろうが、はぐれメタルに対する数少ない有効な攻撃手段を持ち合わせている以上、賢者に打撃攻撃をしているような余裕はないはずである。実際の装備としては、ゾンビキラーは賢者の最高攻撃力を持つ武器であるので、おそらく最後の対ゾーマ戦までこれを装備しているはずだ。隼の剣、草薙の剣など他の候補もあるものの、適当なのはゾンビキラーだろう。ただ、上記の理由から、これがはぐれメタル戦で振るわれることは少ないと思われる。
 最後に商人であるが、この職業は極論すれば、「ゴールドが不足している時期を補うための要員」ということになってしまうだろう。はぐれメタルを相手にしている頃には、ゴールドにも余裕ができてきて、商人の存在意義は薄くなっているはず、である。こだわりを持ってパーティに入れていない限り、対ゾーマ戦まで彼が残っているということは、残念ながら考えにくい。ということで、商人がゾンビキラーを振るってはぐれメタルに挑むということも・・・。
 少々強引な感は否めないが、これらのことから、「僧侶=ゾンビキラー」という図式が、ある程度の普遍性を持ってくるはずだ。まあともかく、はぐれメタルにまさかの一撃を加える僧侶、この不思議な現象で、パーティでの存在意義を高めていただきたい。

 

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